エフィカシージャパン所属コーチの衣川信之です。
「コーチングの教科書」の基本連載です。未来思考で世界中の人の創造性と天才性を育み、利他的な人を増やす活動であるコーチングの学び方を、基礎からわかりやすく説明していきます。
2−18 アティテュードが変わるとはブリーフシステムが変わること
今回は、アティテュードとブリーフシステムの関連という重要なテーマです。ブリーフシステムが形成され、そのブリーフシステムに基づいて、「物事に対する考え方」であるアティテュードが生まれます。たとえば、「健康維持のためには常に口内の清潔さを保つべきだ」という考え方ですね。そのアティテュードを行動に移して、それが繰り返されていくとハビット、たとえば毎朝や食事後の歯磨きになっていきます。
ハビットがあるということは、アティテュードがあるということですね。そのアティテュードは、一方ではハビットの出どころになっていてハビットに関連しているし、他方ではあるブリーフシステムから出てきた可能性があり、ブリーフシステムにも関連しています。ブリーフシステム、アティテュード、ハビットとつながっているわけですね。
アティテュードは物事に対する考え方の方ですから、自分ではある事柄や物事に対してあるアティテュードを持っていると気づいて、そのアティテュードを変えることで、ハビットを変えていくのは簡単です。同時に、逆向きの作用もあって、ハビットを変える、新しいハビットを教えてしまうことによって、その前提になっているアティテュードが自動的に変わったり、植え付けられてしまうこともあります。
ゴールを実現していくためには、ゴールを実現できるような良い習慣である、良いアティテュードとハビットを身につけていきたい、ということになります。
苫米地博士の「いい習慣が脳を変える」という書籍によると、「「いい習慣」とは、その個人にとっての人生目標、いわゆる「ゴール」に合致している習慣だということになります。」と説明されています。ゴールとの関連で、いい習慣かどうかを決めていけばいい、ゴールに合致するアティテュードなのか、ハビットなのかを意識していくことが大切です。
そうなのですが、実は、やっかいなところがあります。アティテュードが変わるとはブリーフシステムが変わるということを意味しますが、このブリーフシステムを変えることが一番難しいからです。
「いい習慣が脳を変える」という書籍の中で苫米地博士は次のように説明されています。
「アティテュードが変わる」ということは、その人の「信念」であるブリーフシステムが変わるということです。このブリーフシステムを変えることが一番難しいのです。
なぜなら、ブリーフシステムが階層性を持っているからです。ブリーフシステムの中では、より上の階層が下の階層を支配しています。上の階層が変化しない限りは、下の階層も変化しません。
階層は、互いに相互依存関係にあり、階層の上下関係は、しばしば脳の抽象思考を妨げるように働きます。
そのためには、自分のブリーフシステムが、抽象度の高低にそった上下の階層性を持っているかどうか、常に確認していく必要があるのです。そこから生まれるアティテュードに基づくハビットを繰り返していくことが「いい習慣」の習得だと言えます。
では、どうしたら、抽象度の高低にそった上下の階層性を持っているブリーシステムから生まれるアティテュードや、それに基づいたハビットを繰り返していくことができるようになるのでしょうか。苫米地博士は、「意味のある知識がアティテュードを生む」と説明され、「抽象度の高いゴール設定を可能にするのもまた知識なのです。」と言われます。
「いい習慣が脳を変える」の中で、「しかし、抽象度の高いゴール設定を可能にするのもまた知識なのです。しかも、必要なのは大量の知識。大量の知識が思考の抽象度を押し上げ、ブリーフシステムの階層性を、抽象度の高低にそった形に整え、個々人のゴールに適したアティテュードをつくると、それがハビットに影響していくのです。」のように説明されています。
大量の知識があって、その大量の知識が思考の抽象度を押し上げ、ブリーフシステムの階層性を、抽象度の高低にそった形に整え、個々人のゴールに適したアティテュードをつくる。そうするとそれが良い、ゴールに合致したハビットになっていくのですね。抽象度の高いゴールを持ち、そのための大量の知識の習得に意欲的になり、ブリーフシステムの階層性を、抽象度の高低にそった形に整え、良い習慣であるアティテュード、ハビットをゴール側に変えていくことは、ゴールを実現するための大切な指針になります。