エフィカシージャパン所属コーチの衣川信之です。
「コーチングの教科書」の基本連載です。未来思考で世界中の人の創造性と天才性を育み、利他的な人を増やす活動であるコーチングの学び方を、基礎からわかりやすく説明していきます。
2−15 コンフォートゾーンとホメオスタシス
今回は、コンフォートゾーンとホメオスタシスの関係です。コンフォートゾーンとホメオスタシスについて理解と技術が深まれば深まるほど、ゴールは努力なしで易々と叶っていくことになります。何といってもゴールの世界がwant-toなのですから、好きなこと、つまり現状の外のゴールを実現するために必要なこと、多くの人の自由や健康、豊かさ、そして夢が叶っていくことしかやっている暇がなくなります。
コンフォートゾーンも、事実そうなってしまっている場合が多い、それは現状の外にゴールを設定することを知らず、また現状の外のゴールに対して正しくコンフォトーゾーンを設定することを知らないからそうなっているのだと考えられますが、現状そのもの、過去の情動記憶に基づいて作られた認識や知識に従って主観的な世界を見ている時の現状がそのまま現状維持メカニズムであるコンフォートゾーンになっている場合もあります。
そして、そのようなコンフォートゾーンではなくて、現状の外のゴールを叶える、エフィカシーが高い状態と結びついたゴールを実現するコンフォートゾーンもあるのです。同じコンフォートゾーンですが、夢を叶える人のコンフォートゾーンはコーチング理論によって理解し、夢を叶え続ける人生に使っていくことができるのです。
「ビジネス成功脳スピード構築」という書籍の中で苫米地博士は、「いきつけの飲み屋や喫茶店のように、自分にとって快適で、自然に振る舞うことのできる場所をコンフォートゾーン(Comfort Zone)といいます。コンフォートゾーンとは単に場所ということではなく、意識の中にある居心地のいい範囲のことを指します。」のように、まずコンフォートゾーンの概念をわかりやすく導入されています。
その上でコンフォートゾーンとホメオスタシスの結びつきについて、次のように説明をされます。「行きつけのお店を替えたがらない、ゴルフで一時的に調子が良くても結局いつものスコアに戻ってしまうというような、コンフォートゾーンを維持しようとする傾向が無意識に働くことをホメオスタシス(Homeostasis)といいます。
ホメオスタシスは、同一の状態を意味するギリシア語ですが、日本では、恒常性維持機能と訳されています。安定した状態を維持して、生体をより長く生存させようとする機能です。」
そしてこのようにコンフォートゾーンとホメオスタシスの結びつきを説明された後で、「コンフォートゾーンの中では、慣れ親しんだ認識や価値判断が優先されるために、新しいアイデアや仕事の仕方は受け入れられず、従来のやり方が強制される傾向が強まります。現時点でのコンフォートゾーンは、公私両面で成長にブレーキをかけるのです。」というように、実際にそうなってしまっていることが多い、成長に対するブレーキになってしまっているコンフォートゾーンについて言及されています。
さらに次のような説明が続きます。「コンフォートゾーンは、現実に見えているものというよりも、記憶の体験をつなぎ合わせたものの集まりによって成り立っています。脳は一度見たものは二度と認識せず、記憶として見ているからです。さらに、脳が認識するのは、コンフォートゾーン中でも特に重要なもので、かつ緊急性を持ったものだけです。そこで、対象や出来事が設定されたコンフォートゾーンから外れた場合は、それが良いほうに外れても悪いほうに外れても、あらかじめ設定された状態に戻ろうとします。これが、先ほど説明したホメオスタシスの働きなのです。」
マインドの扱い方を正しく知らない限り、現状のコンフォートゾーンに働くホメオスタシスこそが、夢を叶える自分に変わろうとしても変わらない強敵になってしまうわけですが、それではいったいどうすればいいのでしょうか。苫米地博士は「ビジネス成功脳スピード構築」の中で、次のように言われます。「ホメオスタシスは、無意識に快適な自己のコンフォートゾーンに逃げ込もうとしますので、強い意識を持ってコンフォートゾーンを変えていかなければなりません。」
そして次のように言われます。「こうして、コンフォートゾーンを一段上のものに変えることで、強制されたhave toだったあなたの行動動機が、自発的、創造的なwant toに変わっていくのです。」
コンフォートゾーンとホメオスタシスの関係について十分に理解を深めていきながら、ゴールにふさわしいコンフォートゾーンが正しく設定されるように意識していくためには、セルフトークのマネジメントや、ゴールの世界のゲシュタルトや臨場感を作るアファメーションの技術が重要になってきます。