2−10 自由の概念と抽象度

エフィカシージャパン所属コーチの衣川信之です。

 「コーチングの教科書」の基本連載です。未来思考で世界中の人の創造性と天才性を育み、利他的な人を増やす活動であるコーチングの学び方を、基礎からわかりやすく説明していきます。

2−10 自由の概念と抽象度

 今回は、現状の外のゴールをwant-toで設定していく時に重要になる、自由の概念を、抽象度というコーチングの重要概念との関係で見ていきたいと思います。抽象度は、苫米地博士が体系化して普及しているコーチング理論で特に重要になる概念です。そして、クリティークというディベートの専門用語も覚えていきましょう。

 ゴールの世界を実現していくのに、ディベートや論理的思考の方法はとても大切になります。どうしてかというと、ゴールの世界は素晴らしい世界ですが、とてつもなく手間ひまがかかり、面倒なことだからです。世界平和も、戦争と差別がない世界も、いじめや貧困がない世界も、みんなが才能を発揮できる世界も、それを実現したり、実現している状態の複合的なメカニズムの一つ一つを論理的に考えたり、論理を追っていったり、その必要性を人に理解してもらったり、実際にお金になるわけでもないのに勉強したり、啓蒙したり、普及したりというのは、とても手間ひまのかかることです。

 ですが、もし、世界平和、戦争と差別がない世界、いじめや貧困がない世界、みんなが才能を発揮できる世界が素晴らしいもので、多くの人に利益があり、みんなが自由で幸せになるのであれば、その実現方法の論理的なステップを考えること自体が面倒なことであっても、それを考えていったり、考えていくことの重要性を知ってもらう機会を作っていくことは、とても大切です。思考停止状態ではなく、世界平和やいじめがない社会を実現する論理的な筋道、可能性のつながりを思考していけるためには、自分にも、相手側にも論理的な思考力が必要です。

 そして、複雑な因果関係がダイナミックに双方向で作用し合い、変化していく現実の世界では、単純な三段論法的な因果判断では成り立たず、複雑で確率的な世界であることを踏まえた現代的な論理的思考法、現代ディベートのベースにあるトゥールミン・ロジックのような思考法・立論法・対話法を学んでいく必要があります。世界平和の重要性や可能性を論理的に、そして他者に対する共感能力から大切だと思えるから、大きなゴールと自分の才能との結びつきが以前よりも明瞭に自覚されてくるのだと思います。

 論理的な思考が身についてくると、そして多くの人の自由や幸せが関心事になる利他的な考え方ができるようになってくると、手間ひまのかかる地道なことでも、それが多くの人の自由や幸せにつながることであれば、そのゴールに対して意欲、want-toが出てきます。自由、論理性、思いやりの気持ちは相互に関連を持っています。なぜなら、自由とは、すべての人の自由が共存する状態で、すべての人がその人のそれぞれの宇宙を持っていて、異なるブリーフシステムを持っていることに基盤があるからです。

 そうである以上、世界平和へ至る論理的なステップも、誰かが考えたことが唯一の正解ではないかもしれないし、そのゴールを他者へ強制することはできないはずです。世界平和という多くのベネフィットになるゴールであっても、違う考え方をもつみんながそれぞれにその重要性、必要性を論理的に、また他者の自由や幸せに対する共感の思いから、納得して、大切な自分のゴールだと自由な意思で思うのでなければ、強制された誰かのユートピアになってしまいます。自由な状態を実現するのは、思考力や抽象思考を必要とする手間ひまのかかることなのだと思います。

 自由な選択という時の自由は、制限から逃れるフリーの自由ではなく、もともと自由な状態から何かを選び、役割を引き受けるリバティの観念と親和的です。

苫米地英人「バイリンガルは二重人格」

 苫米地博士は「バイリンガルは二重人格」という本の中で、この自由の概念について、抽象度との関連で説明をされています。引用します。

 自由な選択のためには、たくさんの視点を持つことが必要です。バイリンガルくらい英語ができるようになれば、言語の運用だけでなく、その裏側にある文化や背景を知るようにしましょう。そうすると視点がもうひとつ増えるのです。

 もちろん、古典はそういう選択を言語より高い抽象度で書いているわけですから、マックス・ウェーバーやホッブスは、翻訳の質の問題を別にすれば、日本語で読んでもいいのです。

 彼らが提示する抽象度というのは、言語より高い視点で記述されているので、そこで自由になるのです。

のように述べられています。

 また、ディベート用語のクリティークという概念も紹介されています。クリティークというのは、もともとの価値そのものを疑う視点のことです。

 だから「経済成長がいい」といっている人がいたら、「資本主義が間違っているけど」といわれると、そもそもの「経済成長が良い・悪い」という議論が成り立たなくなります。

 古典のような抽象度の高い知識を得るためには、自分で頭を使うのもひとつの方法です。しかし、あなた以外にも過去に頭を使った人たちがいっぱいいて、その人たちの視点を読んで手に入れてから、頭を使うほうがはるかに効率的です。古典に書いてあるんだから、それを読んだほうがいい、というのは明らかでしょう。

 そうして複数の視点を手に入れ、自ら選択できるということが「自由になる」ということであり、「幸せ」ということなのです。

 それこそが正しい選択なのであり、自由じゃない選択には正しいはありえないのです。

 それができてはじめて自分のゴールを決めることができます。

と述べられています。

本ブログ記事のフルバージョンは以下の音声動画もご活用ください

夢を叶える秘訣がいっぱい!エフィカシーコーチング動画

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