2−1 コーチングでとても大切な「現状の外にゴールを設定する」とは?

エフィカシージャパン所属コーチの衣川信之です。

 「コーチングの教科書」の基本連載です。未来思考で世界中の人の創造性と天才性を育み、利他的な人を増やす活動であるコーチングの学び方を、基礎からわかりやすく説明していきます。

2−1 コーチングでとても大切な「現状の外にゴールを設定する」とは?

 苫米地博士の様々な書籍で述べられていますが、苫米地博士が体系化し普及されているコーチングの体系では、現状の外にゴールを設定することが、マインドの扱い方にとって、重要な原則になっています。

 コーチングでは、ゴールとエフィカシーという概念が最重要概念になります。エフィカシーとは、ゴールを達成する自分の能力の自己評価であると定義されますが、エフィカシーの定義の中にゴールの概念が入っています。ですから、ゴールの理解が正しくなって初めて、エフィカシーを正しく理解できるのだし、クライアントのエフィカシーを高めるマインドの技術につながってきます。コーチをつける場合には、やはりコーチングの諸概念について体系的に理解しているプロのコーチにお願いするのが良いと思います。

 では、今日は、現状の外のゴールについて、「現状の外」の部分を考えていきましょう。よく間違いやすいのが、現状をそのまま日本語の日常用語の感覚、自分の感覚で、「現在の状態」と置き換えて理解してしまうことです。現状が、自分の現在の状態になってしまうんですね。

 現在の状態とは、何か、自分の状態についての結果的なもの、体重であるとか、収入であるとか、住んでいるところとか、職業であると理解し、さらにそれがとても外在的というか、体重を変えれば自分が変わるとか、収入が変われば自分が変わるとか、住んでいるところが変われば自分が変わるとか、職業や人間関係が変われば自分が変わるとか、何か外側のものを変えれば、自分の欲しい状態が達成されるというような理解になりやすいです。

 でも、本当にそうなのでしょうか。もしそうであれば、現状の外というのは、単に現在と異なる体重の値、現在と異なる収入の値、現在と異なる住所の番地、現在と異なる職場や人間関係ということになってしまいます。これらを変えることで、本当に何かが変わり、ゴールが実現されるのでしょうか。何かを表面的に入れ替えたとしても、入れ替えたものは変わるかもしれませんが、同じような仕事のパフォーマンスであったり、人間関係の傾向があったり、収入も変わらないし、暮らしぶりも変わらない、ということはよくあります。変えようとしても変わらないのは、コンフォートゾーンの働きによるところが大きいでしょう。

 コンフォートゾーンも、ルー・タイスや苫米地博士のコーチングの体系で非常に重要な概念です。コンフォートゾーンが変わらない限り、それが現状を規制しているのですから、現状の外のゴールは見えてこないし、そうなるとそもそも現状の外にゴールを設定することも難しくなってきます。やはり、現状の外にゴールを設定するためには、コーチの存在が重要になってきます。

 また、コンフォートゾーンを構成しているのは、普段無意識で自分について発言している心の会話であるセルフトークや、そのセルフトークから出来上がるセルフイメージです。つまり、セルフトークやセルフイメージを変えていくことなしに、コンフォートゾーンは変わらないし、コンフォートゾーンが思うようにならない状態で、何か現在の状態を変えようというのも難しくなってしまうのです。

 「現状」は単なる自分の現在の状態ではないことは、言葉の由来からもわかります。現状とは、もともと政策ディベート用語で、ステイタス・クォーという英語を翻訳したものです。何かが一種の平衡状態になっていて、何かを変えない限り、そのままの現状が続くのです。マクロレベルでは、法律が世の中を動かしていくことが多いので、法律を変えないと現在の状態が続くということです。時間的には、現在の延長としての未来も含みます。過去もそうだったということであれば、過去も含んでくるでしょう。

 実際は、現実世界の現状を構成しているのは、法律・政治・経済であることが多く、その背景にある過去の文化や思想、宗教、習慣があり、そのような価値観や利害を文化の中で取り込んできて、当たり前のこと、正しいこととして信じていることが多いと思われます。現在の現実は過去からできていて、過去の延長で未来の可能性を規制して考えてしまうことが多い。そのようにして個人のブリーフシステムが形成され、知らず知らずのうちに社会や自分のコンフォートゾーン、現状の中でできることや欲しいものが決められていってしまいます。

 そうであるならば、現状の外というのは、何が現状を構成しているのかの認識なしには得られないものだし、自分のブリーフシステムがどのようにしてできあがってきて、無意識的なセルフトークやセルフイメージがどのように自分のコンフォートゾーンを縛っているのかを見ていく必要があります。時間の流れが未来からであり、現状を変えられるのだとすると、ゴールを設定するゴールの中身自体が根本的に変わってきます。

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