1−2 心の扱い方の領域(その1)イメージするだけでは実現しにくい理由

エフィカシージャパン所属コーチの衣川信之です。

  「コーチングの教科書」の基本連載です。未来思考で世界中の人の創造性と天才性を育み、利他的な人を増やす活動であるコーチングの学び方を、基礎からわかりやすく説明していきます。

1−2 心の扱い方の領域(その1)イメージするだけでは実現しにくい理由

 コーチングという心(マインド)の扱い方を学ぶようになってから、いつの間にか心の扱い方が上手になって、夢が次々に叶っていきました。

 コーチングに出会った時には、正直なことを言うと、好きな時に好きなことが存分にできる憧れのライフスタイルを実現したい思いも強かったように思います。不思議なことに、憧れのライフスタイルをイメージし、アファメーションを作り、自分が憧れのライフスタイルを送っている情景をありありといつも思い描いていると、次々に憧れのライフスタイルが叶っていきました。もちろん、これまでに学んできた知識、経験、才能は最大限に活用した上で、コーチという未知の領域でも、教科書通りの「ゴール設定、エフィカシー、アファメーション」で次々に、想像以上のスピードで、憧れのライフスタイルが叶っていきました。

 だから、最初の頃は、コーチングで言うアファメーションのことを、「イメージして臨場感を出して現実になること」ぐらいに考えていた時期があります。未来思考を採用するだけでエフィカシーが高まり、憧れのライフスタイルが次々に実現していきました。引き寄せの法則と、認知科学を元にしたコーチング理論の区別がついていませんでした。イメージしたら、どんどん方法が見えてきて、実現していくのだから、区別がついていなかったのです。

 今から考えると、イメージするだけで憧れのライフスタイルが次々に実現していったのは、自分にとって私的な成功は十分に現状の内側にあって、方法までイメージしやすかったからだと思います。大学生にしてはとても大きな世界平和というゴールを持っていて、子供の頃から文学や哲学が好きだった強みも活かし、大学生時代には猛烈に法律、政治、経済、歴史、哲学、宗教、公共政策などを勉強し、自分なりに理想的な諸政策をいつも考え、理想が実現しない理由や状況についてもよく検討していました。

 そりゃ、いろいろなことに詳しくなるし、勉強の幅が広がるにつれて自然に、クリエイティブな学習法を自ら考案するようになって、記憶術・速読術・語学習得法にも習熟していきました。自己実現のことなら、その分野の知識について本にたいていのことは書いてあるので、調べて、方法を考案して実現できるものはなんでも実現できると思っていました。

 でも、憧れのライフスタイルが叶っていけばいくほど、若い頃に心のどこかで思っていた「こんな世界がいい」という理想が、青年期の独りよがりな主張は少し丸みや穏やかさを帯びながらも、忘れられない。世界の平和を夢見て、この世の不条理を嘆き、できる限り役に立ちたいと思った若い頃の自分の夢を、大人になってから実社会で学んできた知識や経験が後押しできるのではないかと思えてきます。

 経済生活が個人の領域でも社会の領域でも重きを占める近現代の社会においては、個人が社会の中で経済的に成功し、好きなことを好きな場所でいつでも好きな人たちと好きなだけ存分にできる「自己実現」は、収入を得る仕事の知識と経験や良好な人間関係を増やしていけば、実現しやすい時代ではあると思います。

 個人の経済活動の自由が保障され、衣食住がある程度は満たされている先進国で、「成功をイメージ」して必要な努力をすればある程度までは成功しやすい状況であることから、個人の私的な成功領域における自己実現、自己啓発、引き寄せの法則はある程度までは作用しやすいのかもしれません。

 ですが、個人の私的な成功領域における「イメージすれば叶う」方式の自己実現、自己啓発、引き寄せの法則で、あらゆる夢や願望が実現することはないように思います。起業して会社を経営するようになってからは、このことを強く実感しています。もしすべてのことが「イメージすれば叶う」のであれば、みんなで世界平和をイメージすれば世界平和が達成されるはずですし、事業の売上もイメージすればイメージ通りに実現するはずなので経営者の仕事が「売上をイメージすること」に置き換わってしまいますが、そんなことはないでしょう。

 こうした基礎的な事柄をコーチング初心者が誤解していると、経営者に対するコーチングが「一緒に薔薇色の未来をイメージすること」だと取り違えやすくなります。経営は変化が激しい実社会で経営課題に直面しながらゴールを実現していく活動なので、抽象的に静止画のような薔薇色の未来をイメージすることは難しいでしょうし、そんなことをしている暇があったら、従業員のエフィカシーが高まるような取り組みを推進したほうがよほど事業は発展するものだと思います。

 受験生が学力が実際に向上する方法や習慣を創造的に編み出して実践することなしに、行きたい大学の門をイメージするだけでは、「いつも大学の前で門を眺めている万年浪人生」の自分(つまり、必要な勉強を創造的に回避する自分)のセルフイメージをいつも作っているのに等しくなります。

 もちろん、人の心が見る未来のイメージが、過去の記憶に制約されずに、時間が未来から流れてくる知識や認識と合わさった時に、また、素晴らしいビッグ・アイデアを実現する抽象度の高い自我のイメージと結びついた時に、人間が発揮する未知な事柄への想像力と創造性には素晴らしいものがあると思います。ただし、それは、欲しいもの(結果)を「ありありと思い描けば」手に入れられるとは異なる次元の話です。そもそも、現状の外側にあるものは、ありありと思い描くことはできないはずのものです。

夢を叶える秘訣がいっぱい!エフィカシーコーチング動画
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